義理人情に厚い庶民の街で江戸っ子も唸る焼鳥の絶品に出会う!? の巻

私は全農チキンフーズに勤める課長、人呼んで“チキン父さん”。だが、それは仮の姿だ。実の正体は、社長から『やきとりの流儀』を極めるために秘密のミッションを命じられた特命課長なのである。夜な夜な街に出没し、究極のやきとりを求めて彷徨い歩く。

さて、今回、社長から調査を指示された店は、東京はJR神田駅の近くに店を構える焼鳥と水炊きが評判の居酒屋だ。神田といえば“粋でいなせな神田っ子”とくらあ。「てやんでえ」「あたぼうよ」「こちとらチャキチャキの江戸っ子よ」なんて、たまには社長の目の前で思いっきり見得を切ってみたいもんだ…。そんなできもしないことを妄想しながら裏通りをトボトボ歩くチキン父さん。駅から約3分で目的の店に着く。

店先の立て看板には、「焼鳥と水炊きの店」と書かれたおいしそうな文字が踊る。外壁では提灯の明かりが呑んべえの私を手招く。喜び勇んで入り口をくぐれば、「いらっしゃいませー」と元気な声で店員さん。期待に胸をふくらませながら通されたのは、な、なんと、またしても4人がけの個室であった。初めは1人じゃ間が持たないと思っていたけれど、よくよく考えればなんと贅沢なことよ。

そんな、至福の時間を過ごしている私をアッと驚かせたのは、「焼鳥盛り合わせ【五種】」だった。鳥肉一つひとつが大ぶりで、一般的な焼鳥の1.5倍はあろうか。さらに驚いたのは、国産のブランド鶏「みちのく清流味わいどり」と「比内地鶏」のみを使用しているということだ。能書きはこのくらいにしてガブリと食らいつけば、弾むような食感にまた驚く。噛むほどにブランド鶏の豊かな旨味が、これでもか、これでもかと溢れ出る。

一本一本、手作業で串打ちし、天然由来のこだわりの塩と秘伝の調味料を用い、表はこんがり、中はしっとりと焼き上げているのだそう。そんな“焼き”へのこだわりが、ブランド鶏本来の風味をぐんと引き立て、ジューシーな肉汁をギュッと閉じ込めているというわけか。店長さんに「秘伝の調味料って?」と切り込むも、「企業秘密です。」とキッパリ。「だから君は詰めが甘いんだよ」なんて、ブチブチ小言を言う社長の渋い顔が目に浮かぶ…。

もう一つの看板メニュー、水炊きにも大満足だ。鶏ガラを6時間もじっくり煮込んだ白濁スープと、ひと口大の比内地鶏が絶妙だ。「コラーゲンもたっぷりだから、お肌もしっトリ(・・)です」と店長さん(ズルズルッ!)。
最後に食べたつくねも絶品だ。「つくねが美味い店は何でも美味い」と社長が言っていたとおりだ。「焼鳥は私の料理人生の原点です」と語る店長さんのこだわりが、料理すべてに感じられる。

地酒も東北産中心の美酒ばかりでついつい飲み過ぎてしまった。ああ、極楽、極楽。社長には「国産ブランド鶏の極上の味わいが満喫できる、神田の名居酒屋」と報告しておこう。さて、そろそろドロンしますか。

そんな昭和の香りをプンプン漂わせながら、神田の街を軽快な足取りで歩くチキン父さん。「宵越しの銭は持たぬ」と粋がっても、お釣りは1円玉までしっかり数えるのだった…。

これからも、チキン父さんへの特命は続く!

店長 酒井 良 さん
“一番大切な人を連れて来たくなるようなお店”を合言葉に、自ら厨房に立ち、自慢の腕を振う店長の酒井良さん。真心込めた手作りの味と居心地の良い雰囲気づくりに精進し、地元・鍛治町はもちろん、下町の多くの人に愛されています。
あなたにとって鶏料理とは
店長さんの格言:焼き鳥は私の魂だ。

チキン父さんがおじゃましたお店

焼き鳥 水炊き 「神田かしわ㐂」
東京都千代田区鍛冶町1-7-15Google Map
JR各線「神田」駅より徒歩3分

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