第5回 九州のうまかもんに出会う出張編 初体験のざる焼きに度肝を抜かれる!?の巻

私は全農チキンフーズに勤める課長、人呼んで“チキン父さん”。だが、それは仮の姿だ。実の正体は、社長から『やきとりの流儀』を極めるために秘密のミッションを命じられた特命課長なのである。夜な夜な街に出没し、究極のやきとりを求めて彷徨い歩く。

今回の舞台は福岡。福岡といえば水炊きや鶏皮の焼き鳥が有名だが、社長から調査を指示された店は、宮崎県の鶏肉卸売会社直営の七輪焼肉のお店だという。初の九州上陸に心が躍るし、舌も踊る。足ドリも軽く、今なら空も飛べそうだ♪さぁ目的の店にひとっ飛び!そんな妄想をしながら福岡空港から地下鉄に乗り、西新駅へ。若者やサラリーマンで賑わう商店街を5分ほど歩くと目的地に到着した。

建物の二階に上がりドアを開くと、「いらっしゃいませー!」と店員さんのハツラツとした声が私を出迎えた。肩肘張らずにくつろげそうなカジュアルな雰囲気の店内だ。さっそく社長ご指名の「ざる焼き」をオーダー。宮崎名物の炭火焼きをお客さん自身に体験してもらいたいと考案されたという、この店オリジナルの看板メニューだ。料理もロクにできない私が上手く焼けるのか?と不安に思っていると、「最初は私が焼いてレクチャーしますのでご安心を。ケッコー簡単ですよ!鶏だけに!」と店長さん(ズルッ)。

運ばれてきた6種盛りは、ひな鶏、おや鶏、砂肝、ハツ、セセリ、軟骨に・・・ん?この黄色い塊は?「鶏の脂です。これがざる焼きの最大の決め手なんですよ」と、手際よくひな鶏と脂をざるに投入し、七輪の上に。たちまち激しい煙と炎が立ち上る。ざるを小刻みに振りながら燻し焼き、2、3分で完成。なるほど、脂と一緒に焼くことで一気に火が通るし、炭火焼の風味も増すというわけだ。

いざ実食。噛んだ瞬間、想像のはるか上をいくひな鶏の柔らかさ、ジューシーさに思わず目を見開く。さすが直営店、毎日宮崎から新鮮な鶏肉を直送しているとあって、鮮度も抜群だ。あっという間に平らげてしまったので、続いておや鶏、ハツ、砂肝・・・と、店長のお手本通りに焼いてみる。なんということだ・・・初めてながら、美味しい炭火焼きが次々と生み出されていくではないか!こんな才能が眠っていたとは。私ってば“能ある鷹”だったのか、とニンマリ。
中でも砂肝は会心の出来。焼き鳥とはまた全然違った、ザクッと歯切れの良い独特の食感が衝撃的だ。「うますぎて度肝を抜かれたでしょう?砂肝だけに」と店長さん。(ズルズルッ)聞けば、誰が焼いても美味しくなるように、それぞれの素材への包丁の入れ方、うまみを引き立てる下味の加減など、計算し尽くしされているのだとか。
なぁんだ、そういうことか。いやはや恐れ入った。「誰もが炭火焼き職人の気分が味わえるエンタメ性抜群の店」と報告しておこう

宮崎名物チキン南蛮590円に、鶏そぼろ丼500円、レアな宮崎焼酎も含め焼酎1杯ALL390円(税抜き)と、うまさだけでなく安さへのこだわりもあっぱれなお店であった。

帰り際、「あ~この“ざる焼き”が東京でも味わえたらなぁ」と思わずつぶやくと、「新橋に姉妹店がありますよ」と店長さん。なんと!社長ともあろうお方が、そんな重要なことを見落としていたとは。まさに灯台下暗し。でもおかげで福岡に出張できたんだから、結果オーライ。今度、サプライズで社長を新橋のお店にお連れしよう。喜ぶだろうなぁ。臨時ボーナスもらえるかも!?そんなことを考えながら、福岡の街を後にするチキン父さんであった。

これからも、チキン父さんへの特命は続く!

店長 早田 光佑 さん
2年前からお店を任されている若き二代目。店を立ち上げた父親の偉大さを感じながら、日々修行に励んでいるとのこと。学生時代は陸上・野球と、スポーツ一筋。その情熱を今は鶏料理に向け“一鶏入魂”!
あなたにとって鶏料理とは
店長さんの格言:新たな出会いと気づきを与えてくれるもの。

チキン父さんがおじゃましたお店

元祖 ざる焼 小林養鶏 本店わさび
福岡県福岡市早良区西新5-1-13
みつやビル2FGoogle Map
福岡市地下鉄空港線「西新」駅より徒歩5分

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